東京という街はとても巨大なので、様々な箇所にその地域特有の空気があるというのは「タモリ倶楽部」や「月曜から夜更かし」を見ていたら、よその地域に住むものでもよく感じることができます。そのような多様な空気を持つ街に羨望を持つことも昔はあったのですが、昨今の再開発において中のテナントがどれも似通っている巨大超高層ビルがどんどん建てられている伝聞を耳にすると、その面白さが失われていくのではと感じます。関係者が努力されているのはわかりますが、均一化されてきて、町が培ってきた空気が壊れていってるのかなという感じは否めません。それでも、まだまだ雑多に存在する雑居ビル群は街の特徴をなし、異文化を感じたい外国人観光客も満足させるのではないでしょうか。
そういったことを街の風景を見るのが好きな私はよく考えるのですが、シャワーに入っている時、私にとってはですが、少し興味深いことを思いつきました。
それは、建物というのは、経年の過程で陳腐化していき、価値が失われていって、最終的に建て替えされるサイクルを辿っていきますが、ビルオーナーは機会費用と比較して、建て替えの方が損だと判断していくうちに、次第に二次関数のごとくU字状に建築物の価値が上昇していく可能性があるのではないのかということです。私はまだ考えがまとまってないので備忘録的な記録としてここに残すので自信があるわけではありません。また、すでに都市経済学で理論化されているかもしれないですがそんなこと知ったことではありません。この曲線を建築物の価値曲線と仮に名付けときます。
手書きでアホみたいですが申し訳ありません。
式を考えたのですが下手の横好きということで数学的厳密さは一切考慮していません。言葉で説明します。()は関数です。
既存の建物の価値=会計的価値(年数)+賃料(世間の建物の評価、建築設備の価値)+オーナー企業の企業価値(世間の建物の評価)ー維持費≥新築した場合の期待価値
以上がオーナーが建築物を残すことの条件です(間違ってると思いますが)
会計的価値は減価償却していってだんだん価値が減っていくので年数の減少関数です。世間の建物の評価は二次関数化すると仮定します。建築設備の価値は陳腐化すると仮定して賃料の減少関数としていいのですが、常に最新の設備であり一定と仮定してもいいかもしれません。
なぜ世間の建物の評価がU字状になるかというのは必ずしも理論的に明らかにしていませんが、ピラミッドやローマの古代建築はいったんは陳腐化した可能性があり、また時代を経るごとに価値が無限に上がっていくことは十分に想定することができます。
これを素に現在の日本の再開発で行われている、昭和時代の建築物の建て替えに対するもったいなさを説明することができるかもしれません。
私は大阪を素に、今は陳腐化しているけれど、これを残すと将来価値が上がるだろうなという建物を代表的に二つ紹介したいと思います(本当はもっといっぱいあると思っています)。住友グループの大阪の拠点の住友ビル本館と伊藤忠商事の旧大阪本社ビルで現在もユニチカが本社を置く大阪御堂筋ビル・大阪センタービルです。
この二つのビルは、大阪を代表する企業の本拠地として日本の復興期を象徴する建築物になると確信しています。建築学的な議論は全くできないのですが、間違っているのを恐れずに言うと戦後大阪のモダニズム建築?としても建築史家から高い評価を後々受けるのではないかと思います。また前者は大林組、後者は竹中工務店という大阪地盤の二大建設会社が施行しているのもいいですね。
竹中工務店の本社ビルである御堂ビルは昨年、登録有形文化財に登録されました。竹中工務店の御堂ビルに対する思いを感じられていいなと思います。もしかしたら今の再開発で超高層ビルが雨後の筍のように建てられている時流に対するアンチテーゼなのかもしれません。
その他にも、大阪には、大阪第一~第四ビルなど昭和の名残を残す大規模建築がたくさん残っています。うめきたのような再開発から産まれる新しい建築群と江戸から平成までそれぞれの時代を代表する象徴的建築が残っている大阪という街の、建築の多様性は日本屈指と言えるかもしれません。